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宮崎地裁・家裁所長に就任した 沖中康人(おきなか・やすひと)さん

2024年5月12日
 「地域の方々に信頼される裁判所として、より充実した紛争解決機能を果たしたい」。慎重な言葉選びが実直な人柄を表している。

 世の中の仕組みやルールには学生時代から興味があった。東京大法学部に進み、1989年に司法試験合格。修習生時代、原告と被告双方の意見に耳を傾け、「最後は自分の全責任で判断する」裁判官の仕事に大きな魅力とやりがいを感じた。

 東京地裁判事補を振り出しに、東京高裁判事、さいたま地裁判事部総括などを歴任。2005年に松下電器産業(現パナソニック)が、ジャストシステム(東京)に対しワープロソフト「一太郎」が特許権を侵害するとして販売差し止めなどを求めた訴訟を担当。同年設立の知的財産高裁で裁判官5人による大合議の初判決として注目を集めた。「責任の重さもありつつ誇りもある。大変な局面をいくつも乗り越えることで法律家としての実力と自信がついた。それはどの職業も同じ」

 32年間に及ぶ裁判官人生では主に民事を担当。白か黒か割り切れる事案ばかりではなく「和解も大きな仕事」と説く。裁判の長期化による時間やコスト面でのデメリット、敗訴のリスクなどを当事者に丁寧に説明し、柔軟な解決に導いてきた。

 沖縄を除き九州勤務は初。広く浅く関心を持つ性格だが分析好きで、街を巡ると海岸線の地形や神話など興味をそそられるものばかりだ。「趣味の温泉巡りも楽しみ。泉質もそれぞれ違いますよね」と笑顔を見せる。東京都出身、神奈川県藤沢市育ち。東京の自宅に家族を残し単身赴任。57歳。

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