「廃業を考える人の過半数が黒字。あまりにもったいない。何より従業員の生活を守らなければならない」。地域に求められる事業所が末永く続くため、円滑な事業承継が社会課題となる中、スタッフ18人を束ねる要職に4月に就いた。「『時期が来たら…』ではなく、なるべく早めに先延ばしせず、余裕があるうちに準備に着手してほしい」と訴える。
福岡県糸島市出身、西南学院大卒。民間企業を経て1994年宮崎商工会議所入り。「経営支援、イベントや祭りの開催など地域振興のほか、会員企業の意見を国や県に届けるといった、地域ファーストの仕事が合っていた」と振り返る。
昨年春に退職するまで中小企業相談所長を9年務めるなど約30年間、地元事業所に寄り添い続けた。個々の課題を把握・分析し、実効性あるアイデアを多角的に提案。さまざまな経営者と手を携え、数多くの県経営革新計画をまとめ上げるなど成果を上げてきた。「事業拡大や売り上げアップにつながるともちろんうれしいが、『相談して良かった』と笑顔で言ってもらえるのが一番うれしかった」
昨春からセンターのコーディネーターを1年経験し「どんな助言をしても、最終的には経営者の決断。最適解を導き出してもらうため、緻密なコミュニケーションが欠かせない」。事業承継の現場でも商議所時代と同じスタンスを貫く。
趣味は山登り。「見晴らしが最高」とほれ込む韓国岳19回をはじめ、高千穂峰12回、双石山36回など、全ての登山記録をスマホに残している。宮崎市。60歳。