社長を務める高千穂町の旅館「神仙」で7年前から、台湾・静宜大の学生をインターンシップ(就業体験)で受け入れている。学生は約1年間、配膳や清掃などの業務に従事。日本のおもてなしや文化を学ぶ貴重な場となっており、教育効果を実感した同大学と産学協定を締結するまで関係は発展している。
6月末には学生10人が夏季セミナーで西臼杵を訪問し、高千穂高生と交流。「来年以降も続けて、将来はサテライトキャンパスを誘致したい。高千穂は活性化しますよ」。少年のように目を輝かせる。
同町出身。21歳で神仙を創業した当初は「鳴かず飛ばずだった」。ビアガーデンを開いたり、施設内にビューポイントを設けたりと「旅館磨き」を続け、約20年前に高級路線に転換。食事、サービス、庭…。「すべてに上質、すべてに最高」を追い求め、昨年度は過去最高の売り上げをたたき出した。
2026年には別府市に新旅館を開業する。「我々にとっては毎日のことでも、お客さんにとっては特別な日。顔を思い浮かべて仕事をするように」。従業員約40人に口酸っぱく伝える信念だ。
物事をとことん突き詰める性格。30代でダイエットを機にジョギングに目覚めると、高千穂高男子駅伝部の指導に携わり、全国高校駅伝大会に導いた。教え子4人が副社長や総料理長で旅館を支える。
趣味は「仕事」ときっぱり。地元愛も人一倍強く、同町中心部でカフェを併設した美術館を経営。子どもに本物の文化に触れてほしいとシャガールの作品を並べる。同町在住。72歳。
【写真】佐藤功宏さん