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「ゼニゴケ目」で新たな分類系統を設立した 鄭天雄(てい・てんゆう)さん

2024年8月13日
 日南市飫肥にある世界唯一のコケ植物専門研究施設「服部植物研究所」の常勤研究員として、地道な研究が実を結んだ。蘚苔(せんたい)類(コケ植物)の「ゼニゴケ目」で、新たな分類系統の設立が学術誌への論文掲載を経て正式に認められた。「生物の多様性について、多くの人が再認識してもらえたら」

 設立したのは「アイチソニエラ科」、「カリフォルニアサイハイゴケ亜科」、「カリフォルニアサイハイゴケ属」。英国の研究者と共同研究で植物の特徴を整理し、近縁種との違いが認識できることを突き止めた。

 中国・北京出身。幼少期から生物に興味があり、大学進学を機に生物学や維管束植物について学び始めた。より専門的な研究を求めて、2016年にコケ植物研究の権威である広島大大学院理学研究科に留学。22年から同研究所の常勤研究員に就任し「歴史ある場所に来られたのは光栄。研究所の価値を高めたい」とまい進する。

 専門は植物分類学。研究対象とする「ゼニゴケ類」は「形態が複雑で、乾燥した状態の標本からは形が復元しない難しさがある」。全国各地あるいは海外へと植物採取へ出かけることも多く「研究室にこもらず出かけられるのは分類学の魅力」と笑う。「ゼニゴケ類は民家の周りなど身近な場所に生息している。ぜひじっくりと観察してみてほしい」と魅力をPRする。

 休みの日はジムで体を動かしながら、頭の中を整理して研究の”戦略”を立てるという。日南で一番好きな食べ物は「地鶏」。日南市在住の32歳。

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