宮日杯吟詠コンクールの歴代最高得点者で競う最優秀吟士の部で頂点に立ち「宮日最高吟士」の座を射止めた。最優秀吟士に輝いた第32回大会以降、12年越しの悲願を達成し「長かった。本当にほっとしている」と笑顔を見せた。
宮崎市で会社員をしていた36歳の時、延岡市の実家の新築祝いで兄の勝巳さん(71)が詩吟を披露したことが始まりだ。伸びやかな声を聞き、「自分もこの世界に入ってみたい」と感じたという。
吟道藤星流創始会長の故坂本徹星さん(享年96歳)に師事し、吟じる詩の内容や背景、作者の思いを深く理解することが豊かな感情表現につながると学んだ。
今大会で選んだ吟題は「西南の役陣中の作」(佐々友房作)。志を持ちながらも戦いに敗れた兵士の無念さ、はかなさに思いをはせ、真心を込めた吟声を尺八の音色に乗せた。自身を導いてくれた坂本会長に対し「良い報告ができた。少しずつ技術を積み重ねることが成長につながると実感できた」としみじみと語る。
現在は中武玲星本部会長の指導の下、技術を磨く。自宅での稽古も欠かさず取り組み、今大会で入賞を果たした妻の初枝さん(67)と切磋琢磨(せっさたくま)する日々を過ごす。「どのような吟題でも滞りなく詠めるよう、まだまだ研さんを重ねなければ」と最高吟士の栄誉におごらず、謙虚な心で成長を誓った。
宮崎市田野町甲で初枝さんと2人暮らし。水泳を趣味とし、スポーツ少年団などで35年にわたって指導を続けている。66歳。