本県では細島税関支署、宮崎空港と油津の両出張所を管轄する。財務省との人事交流で防衛省から就任となり、「税関は治安維持に加え、経済活性化の使命も担っている。二つを同時にかなえるのは簡単にはいかない分、やりがいがある」と意気込む。
治安維持で最重要課題に挙げるのは「防衛省での仕事、使命と重なる部分がある」という密輸入の阻止。「手口が巧妙化し、ありとあらゆる方法を駆使する知能犯との知恵比べになる。厳格に対処し水際で食い止める」。社会を崩壊に追い込む不正薬物や銃刀類をはじめ、知的財産権を侵害するコピー商品など徹底取り締まりを誓う。
「経済活性化にも寄与するのは、大多数の善良な業者がスムーズに税関を通過できるシステム」。例えば、一定期間法令違反のない企業など優良業者の手続きを簡素化する「AEO制度」。管内での利用がなかなか進んでいないため周知を促したいという。
旧防衛施設庁総務部で総括施設調査官を務めていた2006年度は、新田原基地(新富町)で米軍が訓練に参加する際、地元自治体などの調整役として本県をしばしば訪れた。現職に就任し、久しぶりに再訪した本県に「太陽がさんさんと輝く明るい街という印象は相変わらず」とほほ笑む。
東京都内に妻を残し、北九州市の官舎で単身赴任。名所・旧跡を巡るウオーキングが趣味で「九州は歴史が古い。仕事に余裕ができたら休日に巡りたい」と楽しみにしている。横浜市出身、57歳。(報道部・矢野太輝)