多彩なアート展や市民の活動の場としてすっかり定着した宮崎市の「みやざきアートセンター」。10月に設立5周年を迎える同所は、年間来場者11万人を目標に掲げるが、4年目で既に50万人を突破。今年4月に就任したセンター長として「行ってよかったと思ってもらい、リピート率を高めたい」と意気込む。
アートとの縁は深い。延岡高校卒業後、青木画廊(宮崎市)へ就職し、画家や県内の学校を回って画材などを届ける営業マンに。取引相手には、映画「スター・ウォーズ」のポスターを手掛けた世界的イラストレーター、生賴範義さん(78)=宮崎市=もいた。
「先生と世間話をする機会はほとんどなく、アトリエにも数えるほどしか入ったことはない」と振り返る。しかし、時間がたつにつれ、額装を任されたり図録を直接もらったりするまでになる。
同市美術展などのコーディネーターとしても腕を磨く一方、表現者として絵を描き、若手作家グループも設立。2009年の同画廊退職後は美術展運営の腕を買われ、同センターで開いた市美展のアドバイザーとなり、10年から同所職員に。
ここでかつての縁が生き、「生賴範義展」実現の立役者の一人になった。「若手作家に活躍の場を」との信念もあり、企画展「ワンダーアートスペース」を開くなど、人と街と文化をつなぐ活動に汗を流している。
「朝5時半に起き、朝食と娘たちの弁当作り、洗濯が日課」と語る笑顔が優しい。宮崎市内に妻と高1、高3の娘と暮らす。延岡市出身、50歳。
(文化部・徳留亜弥)