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西都市副市長になった黒木郁雄(くろぎ・いくお)さん

2014年10月24日
 県庁を離れて7年。公職復帰の打診に募ったのは古里への思いだった。「この街に育ててもらったのに職場は市外ばかり。県庁、民間で培ったもので恩返しできれば」と決心し、1日付で西都市の副市長に就いた。

 あいさつ回りが一段落した直後、台風19号が本県に上陸。職員とともに市役所に一晩寝泊まりして警戒に当たった。「市政の課題はたくさんあるけれど市役所は市民に一番親身な組織。当然のことではあるが、まずは安心、安全の確立なのだと痛感した」と語る。

 高校卒業後は、東京で便利屋として大工仕事をしたり、弁護士事務所の住み込みの書生として働いたりしたことも。農林省宮崎食糧事務所に勤めながら、夜学を卒業して県庁入りした苦労人。「あれこれやって固い頭がいい具合にほぐれた。何事も経験です」と頬を緩ませた。

 スカイネットアジア航空の設立支援に携わった経験や県東京事務所長時代に築いた人脈は「いまも宝物」と自負する。7年間の宮崎空港ビル勤務で学んだおもてなし精神を胸に秘め、「今は職員や各種団体との信頼関係構築に力を注ぐとき」と足元を見る冷静さも。一方で「若い人たちに力を発揮できる環境を整えてあげたい」と本音を見せた。

 「大して恩を返せていないけれど」と謙遜するが、20年続けている休日の朝のみそ汁作りは家族への感謝の表れだ。西都市南方に妻と母と3人で暮らす。隣に住む小学生の孫2人と汗を流すラジオ体操が何よりの楽しみ。67歳。(西都支局・草野拓郎)

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