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全国優良警察職員として警察庁長官賞詞を授与された谷口親徳(たにぐち・ちかのり)さん

2014年10月29日
 警察官の模範として、長年の職務を全うしてきた努力が実を結んだ。全国優良警察職員に選ばれ、授与された警察庁長官賞詞を見詰め「私が受けていいのかな」と大きな体を揺らし照れ笑いを浮かべる。

 刑事畑を中心に38年間、主に暴力団対策に心血を注いできた。忘れられない事件がある。2005年に発覚した殺人事件。家庭内暴力や金銭トラブルが引き金になり、被害者の元妻と母が暴力団関係者と共謀し夫を殺害。宮崎市内の山中に遺体を埋めていた。

 端緒は失踪した男性が山中に埋められているという、うわさ程度の情報。耳にしたときは半信半疑だったが「真相を明かすため、あきらめずに追及する信念で動いた」。男性の携帯電話の契約記録や渡航歴を探り、最終的に元妻との離婚届に書かれていた被害者名の筆跡が別人のものと確認。容疑者の1人から、男性を殺害し山中に埋めたという供述を引き出した。「ささいな情報でも全力で洗い出し、真実につなげる大切さを学んだ」と当時を振り返る。

 数多くの事件と相対し、数え切れないほどの人と向き合ってきたベテランとして若手に伝えたいことは「人と信頼関係を築くために、相手の良い部分、悪い部分含めた内面と向き合って話をしてほしい」。

 趣味は時代劇鑑賞。「鬼平犯科帳」の主人公長谷川平蔵の立ち居振る舞いを見るたびに「善悪を受け入れ、人情味あふれる裁きを下す懐の大きさに憧れる」と話す。

 宮崎市の官舎に家族3人で暮らす。56歳。(報道部・高橋良太)

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