県内えりすぐりの雌牛が競い、高千穂町で初開催となった第58回県畜産共進会。第3類(生後12~22カ月未満で同じ種雄牛を父に持つ雌牛3頭一組)に佐藤清美さん(67)、義兄の松本功さん(67)と出場し、優等首席とグランドチャンピオンに輝いた。JA高千穂地区の団体賞にも貢献し、「支えてくれた周囲の人たちが、自分のことのように喜んでくれたことがうれしい。牛を飼っていて良かった」と感極まった表情を浮かべる。
本格的に畜産を学んだことがない。日之影小、中、高千穂高を経て、県立農業大学校で養蚕を専攻。1977(昭和52)年に日之影農協に入り、今年から高千穂町のAコープ上野、田原両店の店長を務める。仕事の傍ら家業を手伝い、父進治さん(82)が生きた教科書。牛に愛情を注ぐことの大切さなどを教わり、周囲の助言も取り入れる。
進治さんが県共に出場した約30年前、手伝いを兼ねて見学し、レベルの高さに衝撃を受けた。ようやくたどり着いた今回、JA職員らの熱心な指導などもあり、主役の一端を担った。農家減少や収入低下など、取り巻く環境が厳しい中、「西臼杵の牛の値段が上がり、ほかの農家の励みになれば」と期待する。
「大会後、父が肩や腰が痛いと言わずに働くようになった」と身近な効果に苦笑いも、「負けずに頑張りたい。また夢がかなうかもしれない」。趣味は、釣りなどのアウトドア。昨年4月に誕生した初孫の話になると、この日一番目尻を下げた。日之影町で父、母、妻と4人暮らし。58歳。(高千穂支局・道久聡)