交通機動隊や捜査1課で暴走族や盗犯・特殊犯取り締まりに貢献してきた功績が評価され、全国優良警察職員として警察庁長官賞詞を受けた。過去の受賞者は同じ現場で指導を受けた先輩ばかりで、「先輩や同僚、家族のおかげ。でも本当に自分が頂いていいのか」と恐縮気味に喜ぶ。
高鍋署地域課自動車警ら係長。勤続37年のうち、刑事と交通畑を半分ずつ歩いてきた。20代は交通機動隊や宮崎北署交通課で暴走族対策に奔走した。当時は県内でも暴走行為が多発しており、その多くが10代。「単に取り締まるだけでなく、少年の交友関係や家庭問題などいろんなことを親身になって聞くことが大切」。相手と信頼関係を築き、その時の捜査で出会った少年とは今でも家族ぐるみの付き合いで、結婚式では仲人を務めたほどだ。
日向署の刑事1課時代には、1996年10月に発生した北方猟銃殺人事件を経験。宮崎市内まで逃走を図る犯人車両を停車させようと、大型バスを運転し国道を封鎖しようとした。その際、約30メートルの距離で犯人に銃口を向けられ、「緊張感が走ったが、犯人確保が最優先」と持ち前の強い責任感を胸に命懸けで職務に当たった。
全体の奉仕者として県民への恩義を持ち周囲への感謝は欠かさないが、宮崎市佐土原町で一緒に暮らす妻・千代子さん(52)への思いは格別。第一線に立ち続けたことで、3人の子どもたちの学校行事には千代子さん1人で参加することも度々。「妻が支えてくれたおかげ。感謝してもしきれない」。小林市出身の55歳。
(高鍋支局・竹之下理恵)