高校の国語教師になって5年目。本紙「若い目」へ投稿するために作文を書いていた生徒たちの姿に刺激を受け、初投稿した作品でいきなり特選に輝いた。「受賞はびっくり。恩師や同僚からお祝いの連絡をもらい、生徒から『私たちのおかげですね』なんて言われました」と喜びを語る。
特選作「言葉の海を泳ぐ」は、国語辞典づくりの現場を描いたベストセラー小説に感銘を受け、辞書づくりに挑戦した授業の過程を、自身の悩む心の動きも振り返りながら書いた。
「言葉の深い海に放り出された私」「生徒とああでもないこうでもないと言いながら作った辞書」など、文章の端々に「答えを押しつけるのではなく、生徒と一緒に成長していきたい」との信念を持ち、奮闘する姿勢が伝わってくる。
宮崎市出身。「小さいころから読書や作文が好きだった」といい、中学時代から教師を志すように。熊本県立大を卒業後に帰郷し、講師として働きながら、4度目の挑戦で夢をかなえた。
「国語で考える力をつけさせたい」と生徒が興味を持ちそうな小説を教材に選ぶなど、日々研究に余念がない。小中高と続けたクラリネットの経験を生かし、吹奏楽部の顧問としても活動する。
ほかの茶の間作品にも目を通し「日常の一こまから、いろんな人生を感じることができた」。受賞を機に「新聞を通じて何かを社会に発信できるのだと分かった。これからも投稿したい」と話す。勤務先の福島高校がある串間市に住む。27歳。(文化部・徳留亜弥)