エフエム宮崎(宮崎市)が開局したのは1984(昭和59)年12月1日。29歳、試験放送時からフリーパーソナリティーとしてマイクの前に座り、現在60歳。開局時から話し手を続けているのはただ一人で、13年間番組で相方を務めるs@ko(さこ)さん(39)からは「妖怪みたいって言われるのよ」と笑わせる。
電話リクエスト番組を担当した開局日の興奮は今も忘れられない。「夜通しあった番組で、最後の曲は『マイウェイ』。私が『リスナーの皆さんと歴史をつくっていきたい』とコメントすると、電話オペレーターの子たちが泣いちゃってね…」 歌番組、情報番組などさまざまな番組を受け持ってきた。開局時、1歳だった長男の預かり先がなく、そばで遊ばせながら収録したこともある。離婚、更年期症状など人生の局面に向き合っている最中もリスナーに明るく語り掛けてきた。「人は皆、いろいろ抱えて暮らしている。放送を聴いて一瞬でも笑顔になってくれたらうれしい」という思いがあるからだ。
年齢をネタに突っ込んでくるs@koさんに、開き直って応酬する姿が人気。「自分をよく見せたいという欲や照れが50代後半で吹っ切れた。この私はこの私でいいんだって。妖怪が要介護(ようかいご)になるまで頑張る」と軽快に語りながらも、「年を重ねたからこそ言える言葉がある。ここまで仕事をさせてくれた方々やs@koちゃんのおかげ」と感謝した。
30歳になった長男は12月初旬に結婚する。「今年は本当に記念すべき年です」。宮崎市在住。(文化部次長・中川美香)