国の行政に対する苦情や要望を聞き、解決に向けた関係機関との調整を担う行政評価事務所。「小さな要望でも第三者の立場から国民目線で改善していきたい」。柔和な表情ながら、熱い口調で意気込みを語る。
県内では例年、約1700件の相談が寄せられる。このうち、年金を請求するために金融機関へ出掛けて証明印をもらってくる必要があることに対し、「手間がかかる」という旨の話が持ち掛けられた。同事務所は、この件を総務省に報告。2011年には、証明印の代わりに通帳のコピーも使えるよう厚生労働省の省令が施行されている。
このことを引き合いに出しながら「何か改める点がないかという視点を持って話を聞き、相談者と行政の橋渡しをする」と強調する。
一方で課題に挙げるのは行政評価事務所の認知度の低さ。「困った事があれば、気軽に相談してもらえる身近な存在になれるように努力したい」と考えており、その方法を模索中だ。
沖縄や仙台など各地を転勤する中、1978(昭和53)年の初任地は本県。それだけに思い入れは強く、行きつけだった喫茶店が閉店すると聞き、別れのあいさつのために県外から駆け付けたこともある。ただ、33年ぶりに赴任した本県は「街に人が少なくなった気がして寂しい」とも。
北九州市立大法学部卒。40歳を過ぎて始めたマラソンにはまって青島太平洋マラソンに挑戦したこともあるが、今は「2万歩ぐらい歩く」のが日課。宮崎市に単身赴任。大分県出身。58歳。(報道部・前田潤一郎)