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県弁護士会会長に就任した 西田隆二(にしだ・りゅうじ)さん

2013年4月12日
 「弁護士、法的サービスを県民に身近なものにしたい」。1日の就任会見で抱負を語った。県内の弁護士は20年余りで3倍の119人に増えたが「都市部に偏在しており、出張、電話相談の強化など一歩踏み込んだ活動で、法的サービスへのアクセス障害を改善したい」と意気込む。

 旧佐土原町の小さな自動車店に生まれ育ち、鹿児島大法文学部に進学。法律を通して世の中の仕組みを分析することに面白みを感じ、弁護士を志した。

 司法試験に合格したのは32歳。10回目の挑戦だった。30歳で結婚、31歳で長女を授かり「『この子を食わしていかんといかん』と尻に火が付いた」と振り返る。

 担当事件で印象に残っているのは、職場でいじめを受けていた自衛官=当時(21)=の自殺について、全国で初めて国の賠償責任が認められた裁判。2008年8月に逆転勝訴するまで足かけ9年にわたって、一つ一つ証拠を積み上げ、残された妻子、両親と共に戦い抜いた。

 勝訴後に遺族から「諦めなくて良かった」と感謝された時には、9年分の涙を流した。「弁護士になれて良かった。困った人の手助けをしてお金を頂き、感謝までされる」としみじみ語る。

 趣味の一つはバイク。司法浪人生時代、飛び込みで試験を受けたら、一発で合格してしまった。苦労人だけに「それが一番の自慢です」と笑う。

 「こつこつと地道に」。弁護士としての信条は今も何一つ変わらない。宮崎市佐土原町に母と妻、娘2人と暮らす。56歳。(報道部・中西透)

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