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宮崎地検検事正に就任した髙森高徳(たかもりたかのり)さん

2013年4月25日
 法曹界を目指すきっかけは、少年時代から読みあさった推理小説だった。真実を追求し、難事件を次々と解決していく主人公たちの姿に「かっこいい」と引き込まれた。当初は、法廷で名推理を披露するペリー・メイスンへの憧れから弁護士を目指したが、司法修習で法曹三者の仕事に触れる中で、「自分の思う正義を実現できるのは検察官だ」と確信した。

 修習で初めて遺体解剖に立ち会った時の衝撃が忘れられない。殺害されたのはまだ4、5歳の幼児だった。「亡くなった被害者は何も言えない。代わりに無念を晴らすのは検察官しかいない」と感じた。容疑者の取り調べは精根尽きるほどの大変さだったが、社会の役に立ったような充実感があり、「ビールがうまかった」。

 出身地は長野県。浅間山のすそ野に位置する東御市で生まれ育ち、自然をこよなく愛す。早稲田大法学部を卒業後、1984(昭和59)年に東京地検検事となり、仙台地検刑事部長や札幌高検刑事部長、関東公安調査局長などを務めた。

 座右の銘は、宮本武蔵の「われ事において後悔せず」。今月15日の着任会見では「本県を安全・安心な生活を送れる社会にすることに全力を尽くす」と力を込めた。

 趣味は実益を兼ねたウオーキング、囲碁と将棋。毎日2キロを目標に、公園や街中の景色を楽しみながら歩く。九州への赴任は初めてで、「宮崎を拠点に九州中を旅行して回りたい」と穏やかな笑みを浮かべる。妻と娘2人を残し、宮崎市内の官舎で1人暮らし。57歳。
(報道部・中西透)

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