自ら殻を破ろうとする生徒と、それを導く指導者の関係。高校の運動部活動をまとめる県高校体育連盟の会長に今月就任し、「〓啄(そったく)同時[〓は口ヘンに卒]」の思いを強くする。「価値観が変わってきた子どもたちと指導者のズレをなくす」と言い切る。
鹿児島県垂水市出身。垂水南中1年のとき、赴任してきた校長が立ち上げた剣道部に入り、1期生として没頭した。夏休みは朝夕欠かさず練習。市大会の個人戦で優勝したこともある。
当時を振り返り「部活動は人生に深みと豊かさを与えてくれる」と実感を込める。全国制覇した鵬翔サッカー部や延岡学園バスケットボール部などを例に、「高校スポーツは体だけでなく、県民の心を元気にする力がある」と笑顔になった。
前任の県教委教育次長時代には少子化に伴う県立高の統廃合に腐心。教頭として赴任した小林商高では、小林秀峰高の新設準備にも携わった。自身の母校も閉校した経験を挙げ、「私たちにはスポーツを続けたいという子どもの夢を潰させない責任がある。合同チームの参加など環境整備に力を入れる」と意気込む。
全国で社会問題化した体罰問題については、「子どもの実態に合った教え方を問い続け、指導者の研さんの場をつくる」と言葉の端々に強い使命感をにじませた。
県教委での勤務が延べ12年間と長いが、宮崎南高の校長に今月着任。校舎に響くにぎやかな声に、5年ぶりの現場復帰の思いを強くした。宮崎市に妻と子2人の4人暮らし。58歳。(運動部・上中園誠)