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将棋の第11期宮日女流王位に就いた 下田 郁(しもだ・かおる)さん

2013年4月29日
 決定戦進出4回目で初の栄冠を手にした。2003年の第1期から参加しており、県大会を含めると7回目の挑戦。「ずっと目標にしてきた大会。勝てて本当にうれしい」と顔をほころばせる。

 得意戦法は右四間飛車で「攻めの将棋」が信条。今回は自らが「苦手」と語る終盤の寄せでも冷静な着手を見せた。

 将棋に興味を持ったのは小学3年のころ。羽生善治九段の七冠達成と将棋を題材にした連続テレビ小説「ふたりっ子」の流行がきっかけだった。

 弟と共に宮崎市の将棋教室などで本格的に練習に打ち込み、中学で全国大会に出場。高校には将棋部がなかったが「絶対に全国大会に出る」と学校側を説得し、特例で1人だけの将棋部を創部。宣言通り全国高総文祭に2度出場し、全国新人大会では8強に進出した。

 高校卒業後は東京の専門校に進み、都内で就職。次第に「大好きな地元で暮らしたい」と考えるようになり、11年に帰郷した。「中学3年の初参加以来、私の将棋人生と共にあった」という宮日女流王位戦への出場も再開。復帰から3年で念願のタイトルを獲得した。

 同棋戦で5連覇を達成した山口絵美菜さんは進学のため、宮崎を離れた。「圧倒的に強かった山口さんのようにはいかないけど、課題を克服しつつタイトルを防衛し続けたい」。本県女性棋士界の新たなけん引役として、決意を新たにする。

 帰郷後に専門校で資格を取得し、現在は歯科技工士1年生。両親、祖父、妹と5人暮らし。弟は岐阜市の大学に通っている。宮崎市在住の24歳。(文化部・黒木智洋)

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