40万人を抱える県都の市議会で通算4度目の議長に就いた。「市民の負託に全力で応えるため、信頼される議会運営を行いたい」。穏やかな口調ながらも、その表情には強い決意がにじむ。
市政の最重要課題として掲げるのは南海トラフ巨大地震に備えた防災・減災のまちづくり。市内の浸水域が全国最大級の40・1平方キロとする県の被害想定を念頭に「沿岸部を中心に市民の不安は大きい。生命と財産を守るため、インフラ整備などに力を尽くす」と強調する。
開かれた議会を目指す議会基本条例が臨時議会で可決。市民への報告会開催など活動の具体化に向けた手腕も注目される。「議会活動に対する市民の視線は厳しくなっており、不断の改革が必要。条例の実践に向けたチームを議会内につくりたい」との構想も持つ。
次の市議選から議員定数は現行46から6減の40。「定数減の中で民意をいかに反映させるかという視点が大切」と認識し、議員の資質向上を訴える。「潜在能力を引き出し、執行当局をバックアップする政策の立案・提言も積極的に行いたい」 政治姿勢は「誠心誠意」を貫く。1975(昭和50)年の初当選以来、常に市民と真剣に向き合い、9回の当選を重ねてきた。「自己主張は強い方だが、じっくり対話する姿勢も重んじている」 同市大塚町で妻と2人暮らし。地元神社の神楽では舞手、指導者として伝統芸能の継承に力を注ぐ。神楽には孫6人のうち3人が参加。「担い手としての成長が楽しみ」と顔がほころんだ。65歳。
(報道部・小谷実)