宮日王位戦3連覇中で昨期のアマ名人戦県大会も制した寺原達五段(26)を撃破。「一強時代」に待ったを掛ける、若き県名人が誕生した。優勝の瞬間には安堵(あんど)の表情を見せ、「ほしかったタイトルなので素直にうれしい」と喜びを爆発させた。
決勝では、最近はあまり見られなくなった「筋違い角戦法」という意表の作戦を用い、序盤をリード。中盤で勝負手を連発されて混戦模様となったものの、最後は相手のミスも手伝い、息詰まる攻防を制した。「決勝も含め、運も味方してくれた」と激闘を振り返る。
宮崎市出身。小学4年のころにクラスで将棋が流行し、自身ものめり込むように。高校2年時には宮日王位戦県大会を勝ち抜いて挑戦者となり、九州大1年時には九州学生名人に就位。就職で千葉県船橋市に移ってからは多忙で将棋から離れていたが、昨年11月に帰郷し、今年3月の王位戦県大会から棋戦に復帰。今回のアマ名人戦県大会で、念願の県内主要タイトルを初めて獲得した。
棋風は定跡にとらわれない力戦調。「中盤に力を発揮する半面、序盤が弱い」と自らを分析し、「全国大会では、まず予選突破を目指す。本番までに基本を勉強して弱点を克服し、自分の将棋がどこまで通用するか確かめたい」と抱負を語る。
将棋盤の前を離れるとエッセンシャルオイルなどを製造、販売する会社を経営する青年実業家の顔に。「まだ起こしたばかりなので、新商品の開発など仕事に全力で臨みながら、将棋も頑張る」。宮崎市の実家で両親、妹と4人暮らし。24歳。
(文化部・黒木智洋)