ごあいさつ
新聞は5つの力を育むメディアだと思うのです。5つとは、「想像力」「読解力」「文章力」「集中力」「判断力」です。ググっても出てきません。私が新聞人として歩む中で確信したことですから。なぜ5つの力を育むのか。一つだけ「判断力」について触れます。
「判断力」は、物差しを持つことでもあります。生きていれば、物事の価値、良し悪しを判断する場面に幾度となく遭遇します。時には周りの人がどんな物差しを持っているのかを感じ取らなければなりません。いろんな物差しを持てば、判断もしやすくなるでしょう。新聞記事を読んでいく中で、未知に出合ったり、「自分だったらこうしたい」などと思いをめぐらすようになるはずです。その思いが物差し=「判断力」になるのです。
加速するデジタル技術の革新。ネット社会の進展。呼応するように情報はあふれかえっています。価値観も多様になり、どれが真実なのか、何が正しいのか、あるいは自分にふさわしいのかを見極めることが求められています。
新聞は、読者の知りたい、見たい、聞きたい欲求、要求にこたえなければなりません。ほとんどの読者は日常、知事や住んでいる市町村の首長、農林商工や医療機関の関係者、警察や検察官、弁護士に会うことや、直接質問することはできません。議会に足を運ぶこともままなりません。そういう人たちに代わって私たちの仕事が存在するのです。私たちはそのことに責任と誇りを持って取材しています。
読者が必要とする情報、読者に知ってもらいたい出来事、警鐘したいことを、信頼できる人から正確に取材して紙面に盛り込むことをこれからも続けていきます。人を陥れることもあるフェイクニュースはありません。そこに新聞記事の信頼性があるのだと痛感しています。
新聞は「信頼」のもとに成り立っているということを今一度胸に刻みます。そして、これまで掲げている宮崎日日新聞社のスローガンである「読者と共感、県民と共感」に「信頼」を加えて、正しい情報を散りばめた新聞を発行し続けてまいります。
宮崎日日新聞社代表取締役社長 河野 誠司