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再造林低コスト化 都城森林組合など12月から実験

2020年11月29日
 再造林の低コスト化や林業の成長産業化へ向け、都城森林組合(都城市、柳田力男代表理事組合長)は、全国森林組合連合会(東京都、全森連)と農林中央金庫(同)と共同で「低コスト再造林プロジェクト」を進める。12月から5年間の実証実験に入り、同組合が都城市の山林に伐期の短い樹木を植え、現場で労働力などのデータを収集。全森連が削減効果などを分析して助言、同金庫が費用を負担する。得意分野を生かし、一体となって取り組むことで持続可能な林業経営のモデルを実現する。

 スギ、ヒノキを中心とした国内の人工林は主に戦後に造林され、主伐期の50年を超えた森林も多い。しかし森林所有者の高齢化や、経費や労力の負担を理由に、伐採後の再造林ができない地域が増加。本県でも2018年度の再造林率は73%と、県が目標とする80%に届いていない。

 そこで全森連と同金庫は同プロジェクトを立ち上げ、全国で初めて本県と長野、広島県で林業の低コスト化や伐期短縮に関する実験を進めることにした。

 本県では都城森林組合が所有する、同市吉之元町の山林1ヘクタールで実証実験を行う。植栽する樹木は、中国などで建築材として需要の高い常緑針葉樹「コウヨウザン」。スギに似た広い葉が特徴で伐期が30年と、スギより約20年短い。伐採サイクルを短縮し、出荷量を増やすことができ、経営安定化が期待されている。成長が早く、植栽後の数年間必要な夏場の下刈り作業も減るという。

 12月上旬から実験林のスギを伐採すると同時に、専用の機械を使って効率的に植え付け作業ができる「コンテナ大苗」を使った再造林を平行して行う。1ヘクタールに植え付ける本数も従来より500本少ない1500本とすることで間伐作業を減らし、建築材として需要の高い直径の大きな木材に育てる。その後は同森林組合が成長具合や従業員の作業時間などのデータを収集し、全森連が分析。低コストで効果的な再造林方法を模索する。

 同森林組合の志々目道夫参事は「収益増加だけでなく、所有者が山林管理への関心を高めるきっかけにもなる。放置林が減って治水や治山などの機能が発揮できる美しい山林を、次の世代に継承したい」と意気込んでいる。

【写真】実証実験が行われる山林で実験の概要などを確認する都城森林組合の職員ら=都城市吉之元町

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