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「今年の音」に爆発音

2022年12月27日
 最近テレビで「音」が主役の番組やコーナーを目にするようになった。料理で食材を切ったり煮たりする音、自然の音、人々の仕事から出る音などいろんな音が登場する。テレビで音という切り口が面白い。

 年の瀬には、おなじみの「今年の漢字」や「流行語」が発表されるが、補聴器などを製造するリオン株式会社は、2011年から「心に残った音」を調査し発表している。今年の結果が届いた。それによると、ベスト10のうち六つが「いいシーンでの音」だった。

 1位「サッカーW杯カタール大会で日本が勝ったときの大歓声」、4位「3年ぶりに開催された花火大会やお祭りの音」、9位「442年ぶりの天体ショーで夜空を見上げた人々の驚きの声」など。そうした音や声ばかりならよかったのだが、2位にはやはりあの音が…。

 「ロシアのウクライナ侵攻における爆発音」。この「音」を実際に聞く住民の恐怖はいかばかりか。ロシアはクリスマスも休戦せずに攻撃を続けた。ニュースでは爆発音がする中、兵士らがクリスマスツリーに飾りを付ける様子が流された。爆発音とクリスマスツリー。これ以上ないミスマッチだ。

 3位に入ったのは「英国女王の安らかな眠りを願う最後のバグパイプ演奏」だった。いいシーンといえるかは別として天寿を全うした人に向けた音ならばいい。未来ある命を理不尽な爆撃で奪われた人々へのレクイエムがその年の「音」になってはならない。

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