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耳が二つなのは

2022年12月29日
 きのう12月28日は「身体検査の日」だった。1888(明治21)年のこの日、文部省(今の文部科学省)がすべての学校に対し4月に子どもの「活力検査(身体検査)」を実施するよう訓令したことに由来する。

 長きにわたって子どもたちの健やかな成長に寄与してきた身体検査。実は”エラい大人”にとっても大事なものらしい。もちろんこちらの身体検査は比喩的な表現で「閣僚などの要職候補になった人に金銭などの問題がないかを就任前に調べること」を意味する。

 2カ月の間に、4人もの閣僚が事実上の更迭となった岸田内閣。就任後の問題発言で去った大臣もいるが、おととい更迭された秋葉賢也復興相をはじめ残りは就任前の不祥事が発覚したことによるものだ。こうなってくると身体検査だけの問題なのかという気もしてくる。

 特に不可解なのは、閣僚ではないが秋葉氏と同じ日に更迭された杉田水脈(みお)総務政務官だ。過去にLGBTなどの性的少数者を「生産性がない」などと表現してきた人である。身体検査以前の問題だったろうに、岸田文雄首相はなぜあえて起用したのか。結局、更迭に追い込まれ政権への傷を深めた。

 聞く力が強みという首相である。ギリシアには「耳が二つで舌が一つなのは、もっとよく聞いて、余計にしゃべらないため」というのがあるらしい。聞こうとする意思さえあれば、耳は二つで十分。あとはその耳がきちんと国民の方を向いているかどうかだ。

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