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北風小僧の寒太郎

2023年1月6日
 年が明けたので一昨年になるが、2021年はNHK「みんなのうた」放送開始から60年の節目の年だった。この年は、これまで披露された1500に及ぶ曲の中でも人気のあった曲を聴く機会が多かった。

 その中の一つ「北風小僧の寒太郎」。演歌のような曲調と真っ赤なほっぺに股旅姿の寒太郎はだれもが一度は見聞きしたことがあるだろう。元々別の番組のために作られた歌で「みんなのうた」に登場したのは1974年。当時歌っていたのは堺正章さんだった。

 童謡研究家の池田小百合さんの「なっとく童謡・唱歌」によると、歌詞を手掛けた井出隆夫さんは、当時の人気番組「木枯し紋次郎」をイメージし、故郷である長野県小海(こうみ)町の松原湖に吹く北風を思い出しながら作詞したという。後に小学校音楽の教科書にも採用された。

 この「寒太郎」。一部の地域では「寒の入り」、つまり二十四節気の一つ「小寒」を意味するらしい。寒さを擬人化したものとしてはナポレオンのロシア侵攻を阻んだといわれる「冬将軍」がある。外国生まれで、いかにも厳しそうな名前の冬将軍に対し日本の「寒太郎」は何とも愛きょうがある。

 きょうはその小寒。今月20日の「大寒」を経て寒の明けである「立春」(今年は2月4日)までの約1カ月が最も寒さが厳しいとされる。逆に言えば暦の上での「春」まで1カ月を切ったということだ。健康に十分留意しつつ乗り切りたい「寒の内」である。

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