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感謝のできる大人に

2023年1月9日
 若い人に説教をするのが苦手である。しようとすると、必ず「お前が彼らの年齢だったころを振り返ってみろ。説教できる資格があるのか」と、心の声が聞こえてくるからだ。そうなると何も言えなくなる。

 きょう成人の日。この日を中心に、各地で成人式が開催される。本県では、きのうまでにほぼすべての市町村で行われた。画一的だった昔と違い、今は名称も様式もまちまち。特に今年は、成人年齢が18歳になってから初の成人の日とありその傾向が強いようだ。

 例えば美郷町は、昨年8月に18歳、今月3日に19歳と20歳を対象にした成人式を実施した。今後は、18歳の式のみを8月に行うという。明治以来、およそ140年ぶりの成人年齢の変更である。成人式をどうするかは、どの自治体にもさぞ悩ましい問題だったことだろう。

 3日付の小欄に書いた木城町で行われていた「初日の出を迎えながらの成人式」。出席した女性に話を聞いたことがある。「早朝だと、振り袖の着付けなどが大変でしょう」と向けると「本当に大変なのは地域の大人たち。夜明け前から料理などを準備してくれて、ありがたかった」と返ってきた。

 そうなのだ。どんな形であれ、成人式ひとつとっても、そこには多くの人たちの尽力がある。この女性のように、そうした周囲の人々への感謝の気持ちを忘れない大人にどうかなってください―と、説教が苦手な小欄から新成人に向けたお祝いの”お説教”。

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