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冷気に映えるヤブツバキ

2023年1月20日
 きのうの早朝、延岡市の城山に登った。久しく見ていなかったヤブツバキを見るためだ。日が昇ったばかりで冷え込んでいたが風がないのが救い。登城道や三ノ丸跡、天守台下の歩道などをゆっくり回った。

 日本三大ヤブツバキ群の一つにして108もの変異種を誇る城山のヤブツバキ。大きさは中輪から極小輪までさまざま。色も赤と白だけではない。白にピンクの縦縞(たてじま)が入った「絞り」や、1本の木から複数の色の花が咲く「咲き分け」などその多様さに驚かされる。

 きのうはまだ時期的に早かったのだろう。全体として少なかった。咲いていたのは主に「筒咲き」と呼ばれる、花弁がV字形に開いたものと、花弁が平たい「平開咲き」。個人的に好きなのは、凛(りん)とした印象の深紅の筒咲きだ。そのたたずまいは、冷気の中でより際立つ。

 きょうは「大寒(だいかん)」。立春から始まる二十四節気の最後の節気で、寒さが最も厳しくなるころをいう。すべての節気がそうだが、その日一日のことをいうだけではなく次の節気までの期間を指すこともある。それでいくと、来月4日の立春までが大寒である。あと2週間。短いような、長いような…。

 〈働いてゐて大寒もまたたく間〉(鈴木真砂女(まさじょ))。働いていると、大寒がやって来るのもあっという間―という意味だ。実際「仕事始め」がつい先日のことのようだが、あっという間に1月も下旬。その勢いで春もまたたく間に来てほしいと願う冬の”ピーク”。

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