関東を中心に発生していた広域強盗事件は予想以上の広がりを見せて人々を震え上がらせている。関連が疑われる事件を含めると関西や中国地方、福岡県まで及び１４府県で少なくとも計２０件が判明している。

　犯行が報じられた最初のうちは「バイト感覚で加わった連中だから、金品は奪っても人様には傷害を負わせないのではないか」と考えていたが、１９日の東京都狛江市で起きた犯行はあまりの非道ぶりに怒りが増した。９０歳の女性を縛った上に暴行、殺害したのだ。

　逮捕された若者たちを凶行に走らせたのは何か。特殊詐欺からシフトした者が多いとみられるが、欲求を満たすために人を傷つけても意に介さない犯罪志向に、倫理感の重大な欠如を感じる。対岸の火事ではない。昨年３月には宮崎市内の民家でも似た強盗事件があった。

　工事関係者を装った男２人が押し入り、高齢の夫婦に暴行を加えて現金５００万円を強奪。逮捕された５人は県外に住み、遠く東北でも犯行を行っていた。強盗事件が起きると近所の住民はよく「こんな閑静な住宅地で信じられない」と話す。しかし強盗犯は全国くまなく物色しているとみていい。

　住所を問わず闇サイトで結びついた若者たちが、広域的に犯罪を行う傾向があるようだ。人々を不安に陥れる犯罪は徹底的に摘発してほしい。各世帯の自衛策も大事。戸締まり等ですきをみせないのはもちろん、怪しい人物がいたら情報を近所で共有したい。