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互いにいたわり感謝して

2023年1月31日
 「妻は夫をいたわりつ、夫は妻を慕いつつ~」。ご存じ…いや、若い人は知らないかもしれないが、浄瑠璃「壺坂(つぼさか)霊験(れいげん)記(き)」の名文句である。江戸時代の作と思っていたら、明治のものだと最近になって知った。

 夫婦愛を描いた物語だが、際立つのは盲目の夫を支え、夫の目の回復を祈り観音様参りを続ける妻・お里の献身である。きょう1月31日は、数字の「1」を「I(アイ)」に見立て、続く「31(さい)」で「愛妻の日」だ。妻に感謝の気持ちを表す日なのだという。

 妻に関する記念日では12月3日の「妻の日」もある。こちらも1年間の妻の労をねぎらう日。一方「夫の日」はというと…残念ながら調べた限りでは見つからなかった。ふと思い出したのが木城町の石河内地区で、コロナ前まで続いてきた「睦(むつみ)会」なる集まりだ。

 別名「嫁としゅうとめの会」。かつては嫁がしゅうとめに感謝し、食事を作りもてなす日だった。60年の歴史の中では、お嫁さんだけで100人来ていた時代も。人口減や高齢化により嫁世代が減ったことから、近年は嫁、しゅうとめ関係なく地域の女性同士が互いにねぎらい合う日になっていた。

 感謝が一方通行から「相互」へと発展した睦会のように妻に関する記念日も「壺坂霊験記」よろしく夫婦が互いにいたわり感謝する日になればいい。広辞苑によると「つま」は「結婚している男女間で互いに相手を呼ぶ称。男女どちらにもいう」らしいので―。

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