いつも心に「10センチの扉」を
2023年3月4日
扉の閉め方にも優しいのとそうでないのとがある、と教えてくれたのは以前教師をしていた宮崎市の下リ藤眞里さん(61)。作法ではなく扉そのものが醸し出す雰囲気があるという。思わず前のめりになった。
例えば不登校や登校渋りの子どもが勇気を出して教室に入る瞬間を想像してみてほしい。扉がぴしゃりと閉めきられていたら入りづらい。ガラガラと音を立てて扉を開ける勇気は相当なものだからだ。逆に全開だと中のにぎやかさに圧倒されて尻込みしてしまう。
そのちょうど間をいく微妙な開け具合が理想で具体的には常に10センチほど開けておく。室内の様子がうかがえて、「いつでも入っておいで」と手招きされているような気分になれる「10センチの優しさ」。敏感な人がいるだろうと下リ藤さんはどんな場所でも実践していると聞いた。
今月の自殺対策強化月間に合わせて、県が初めてゲートキーパーに関する動画を作成して配信している。ゲートキーパーとは自殺予防対策で「命の門番」を意味するキーワードだ。行動や表情の異変に気づいて声を掛けるところから始まると説明があり、身近な人だからこそできる役割と納得した。
いつも心を開放して人が来るのを迎え入れる気持ちさえあれば、専門知識や技術がなくても可能だ。いつも心に温かな「10センチの扉」を―。自殺予防対策のためならずとも、慌ただしくて余裕を失いがちな年度替わりの時期に万人が意識しておきたい心構えだ。
例えば不登校や登校渋りの子どもが勇気を出して教室に入る瞬間を想像してみてほしい。扉がぴしゃりと閉めきられていたら入りづらい。ガラガラと音を立てて扉を開ける勇気は相当なものだからだ。逆に全開だと中のにぎやかさに圧倒されて尻込みしてしまう。
そのちょうど間をいく微妙な開け具合が理想で具体的には常に10センチほど開けておく。室内の様子がうかがえて、「いつでも入っておいで」と手招きされているような気分になれる「10センチの優しさ」。敏感な人がいるだろうと下リ藤さんはどんな場所でも実践していると聞いた。
今月の自殺対策強化月間に合わせて、県が初めてゲートキーパーに関する動画を作成して配信している。ゲートキーパーとは自殺予防対策で「命の門番」を意味するキーワードだ。行動や表情の異変に気づいて声を掛けるところから始まると説明があり、身近な人だからこそできる役割と納得した。
いつも心を開放して人が来るのを迎え入れる気持ちさえあれば、専門知識や技術がなくても可能だ。いつも心に温かな「10センチの扉」を―。自殺予防対策のためならずとも、慌ただしくて余裕を失いがちな年度替わりの時期に万人が意識しておきたい心構えだ。