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タイブレーク始まる

2023年3月18日
 春の甲子園こと選抜高校野球がきょう始まる。残念ながら本県からの出場はかなわなかったが、高校野球ファンの胸は騒いでいるだろう。今大会からタイブレークが、これまでの延長13回から10回に早まる。

 決着が付いていない時は無死一、二塁の状態で攻撃を始めるルール。選手の負担を減らすためで、都道府県の大会や夏の甲子園でも導入する予定だ。他の競技でも引き分けとできない時に決着を付けるルールは設けているが、ともすればもやもやが残ってしまう。

 記憶に新しいのが昨年のサッカー・ワールドカップ(W杯)。日本代表はクロアチアと対戦した決勝トーナメントの1回戦、PK戦で敗退した。決勝もアルゼンチンがPK戦でフランスを破って優勝した。死力を尽くした末の非情な結末。納得しない選手やファンもいる。

 昨年死去した元日本代表監督イビチャ・オシムさんはPK戦に入るとロッカールームに姿を消した。「あんなものはくじ引きみたいなもの。私は自分の仕事をやり終えた」という理由。PKはどんな名手でもミスする。疲労に加えメンタル面、運や偶然も左右するから見るに堪えなかったのだろう。

 とはいえどこかで決着を図るためにルールは必要だ。ファンも理解して受け止めねば選手に重圧を与えよう。大人の理性で戦いに終止符を打つスポーツから世界各地で起きている紛争を眺めると、なりふりかまわずエゴを押し通す姿勢にがっかりしてしまう。

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