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歌って世代間交流

2023年3月29日
 先日の日中、宮崎市の繁華街ニシタチのスナックで開かれた「音楽サロン」を取材した。コロナウイルスの流行以来、外出もままならなかった高齢者に歌を歌って、ストレスを発散してもらおうという企画だ。

 そこのママさんが「昼間はカラオケも備え付けのギターも使っていないので、貸し切りで交流の場になれば」と発案。店の客らに相談したところ数人が「ボランティアで参加したい」と話がまとまって地区の包括支援センターやまちづくり推進委員会が協力した。

 飲み物やお菓子は参加者が会費で購入し、当日は近くの高齢者施設から数人のお年寄りが来訪。懐かしい唱歌などを常連客がギターで伴奏し、みんなが一緒に口ずさんだ。歌う楽しさに加えて、昔の体験談などを子や孫の世代に話すことでお年寄りも表情が輝いて見える。

 夜の社交場を昼も活用する珍しい試み。日中なのでお酒は出さない。ママさんは「本来は認知症カフェを思い描いていたけど、ハードルが高いのでまずは幅広い交流の場になれば。まだ手探りだけど今後も定期的に開きたい」と話していた。その後も開催したと聞くから手応えは感じているようだ。

 参加者は飲食以外はマスクを着けていたので歌うにはつらそうだったが、着用が個人の判断になったので徐々に外す人が増えるだろう。職場や学校、そして世代間で失われたコミュニケーションを再生する試みが始まっている。かつての日常を取り戻そうと。

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