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「宮崎」冠する宣言

2023年4月9日
 中高生に南米の国ウルグアイのことを聞いても、どんな国で、どこに位置するか正しく答える生徒は少ないかもしれない。しかしウルグアイ・ラウンドを尋ねれば、知っている割合がぐんと高くなるはずだ。

 GATT(関税貿易一般協定)の多角的貿易交渉のこと。1986年に交渉開始、124カ国が参加した。協議は難航し合意に至ったのが94年。サービスや知的財産権分野におけるルールの導入などで合意した。中高生が詳しいのは現代社会の教科書に載るからだ。

 その土地のことはよく知らなくても、重要な会議、宣言や条約締結などが行われると協議の会場となった土地の名が冠され、世界中の人々の記憶に刻まれる。ポツダム宣言やバンドン会議(アジア・アフリカ会議)もそう。とすると本県で開く国際会議もがぜん注目される。

 開催まで2週間を切った先進7カ国首脳会議(G7サミット)宮崎農相会合。農林水産省が「農業の持続可能性に関する宮崎アクション(仮称)」の採択を目指すと明らかにしたことで関心が高まってきた。略して宮崎行動宣言! 本県の名が世界の人々の記憶に長くとどまるような内容を期待する。

 ロシアのウクライナ侵攻で食の供給に不安が生じるなど、今こそ食料安全保障や持続可能な農業の重要性を世界に訴える絶好の機会だ。本県の第一次産業にも深く関わろう。もちろん宮崎宣言が有名になっても「どういう所か知らない」で終わるのは困るが。

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