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がんばれ新人バス運転士

2023年4月13日
 もう30年以上も昔のことだが、最も難しいといわれる運転免許にチャレンジしたいという思いから、バスの教習所に通っていたことがある。いわゆる大型2種免許。結論からいうと途中で挫折してしまった。

 バス停前への正確な停車も、S字カーブも方向転換も無事に習得。ところがクランク(S字カーブの曲がるところが直角になったやつ)でつまずいた。何度やっても脱輪する。ついに指導員から「トラック免許を取ってからの方がいいですね」と引導を渡された。

 免許は取れなかった。だが、一般の車より手順が多くて複雑なギアチェンジ、安全確認の多さなども含めて、いかにバスの運転が難しいかを身をもって知ることができたのは貴重な経験だった。多くの乗客の命を預かる責任重大な仕事である。難しいのは当然といえよう。

 道交法改正により大型2種免許取得までの期間が大幅に短縮され、今年、宮崎交通に史上最年少の運転士が誕生した。19歳と20歳の4人だ。志半ばで断念した身からすれば「その若さで、よくもあんな難しい試験を…」というのが率直な感想である。4人はすでに“路線デビュー”を果たしている。

 バス運転士の不足と高齢化は、本県のみならず全国的な問題。警察庁の統計によると、バス免許の保有者はこの20年の間に3割以上も減っており、保有者の46%以上が65歳以上という。そんな中、これからの地域の足を担う4人の新人運転士にエールを送る。

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