「復興五輪」とは?
2023年4月14日
取材相手は「質問の意味が分からない」という感じだったという。答えが返ってこないまま「無限にも思える長い長い沈黙」が続き質問を投げかけた当の著者は、なんともいえない間の悪さを感じたらしい。
著者は、スポーツ社会学を専門とする東京女子体育大の笹生心太(ささおしんた)准教授。質問相手は津波にのみ込まれそうになった経験を持つ東日本大震災の語り部。そしてその質問とは「被災地の方々にとって『復興五輪』とはどのようなものでしたか」―というものだった。
その質問が本の題名となった「『復興五輪』とはなんだったのか」(大修館書店)の後書きに記されていた。被災地の人たちだけではない。一昨年の東京五輪が、元々は「復興五輪」の位置付けだったことを覚えていたり、認識したりしていた人は一体どれほどいるだろう。
8月15日や1月17日とともに日本中が鎮魂の祈りに包まれる3月11日。今年はちょうどそのころに、東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件の関係者らが独占禁止法違反の罪で東京地検特捜部に起訴された。組織委元理事や企業トップら15人が起訴された汚職事件と合わせ一連の捜査は終結した。
3・11前後に報じられる被災地の様子を見聞きすると、まだまだ遠い復興の途であることを痛感する。その被災者に起訴された関係者は顔向けができるのか。JOCなどは先日、再発防止に向け大規模スポーツ大会の運営に関する指針をまとめたというが…。
著者は、スポーツ社会学を専門とする東京女子体育大の笹生心太(ささおしんた)准教授。質問相手は津波にのみ込まれそうになった経験を持つ東日本大震災の語り部。そしてその質問とは「被災地の方々にとって『復興五輪』とはどのようなものでしたか」―というものだった。
その質問が本の題名となった「『復興五輪』とはなんだったのか」(大修館書店)の後書きに記されていた。被災地の人たちだけではない。一昨年の東京五輪が、元々は「復興五輪」の位置付けだったことを覚えていたり、認識したりしていた人は一体どれほどいるだろう。
8月15日や1月17日とともに日本中が鎮魂の祈りに包まれる3月11日。今年はちょうどそのころに、東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件の関係者らが独占禁止法違反の罪で東京地検特捜部に起訴された。組織委元理事や企業トップら15人が起訴された汚職事件と合わせ一連の捜査は終結した。
3・11前後に報じられる被災地の様子を見聞きすると、まだまだ遠い復興の途であることを痛感する。その被災者に起訴された関係者は顔向けができるのか。JOCなどは先日、再発防止に向け大規模スポーツ大会の運営に関する指針をまとめたというが…。