獅子身中の虫
2023年4月15日
テレビの地上波において時代劇の放送がめっきり減った。NHKでたまに人間ドラマを軸に据えた作品を目にすることはあるが、かつて民放でやっていたような派手な殺陣を主体としたものはほとんどない。
それに伴い、時代劇でのみ使われる言葉も、すっかり耳にすることはなくなった。「獅子(しし)身中(しんちゅう)の虫」(味方でありながら災いをもたらす者)に「狼藉(ろうぜき)者」(乱暴をはたらく者)「猪口才(ちょこざい)な」(こざかしく生意気な)「大儀であった」(ご苦労だった)―などなど。
これもその中の一つ。「名代」。「みょうだい」と読む。「代理人」という意味だが、これに関しては主に特別な身分の人の代理人に使われる言葉である。「キリシタン大名・大友宗麟の名代となった伊東マンショ」や、現代では「天皇陛下の名代」といった具合である。
国土交通省の元事務次官による民間企業「空港施設」への人事介入問題。元次官は、国交省出身の同社副社長を社長に昇格させるよう求めた際に「有力OBの名代」と語ったことを認めた。有力OBが誰かも明らかになった。元次官は「権限をかさに何かをお願いするとの趣旨ではない」と話している。
とはいえ事務次官まで勤め上げた人だ。「名代」の持つニュアンスを知らないはずはなかろう。よく行政を揶揄(やゆ)して「御上(おかみ)」などというが、それを体現したような今回の件。無関係という国交省には、さぞかし元次官は「獅子身中の虫」に思えたことだろう。
それに伴い、時代劇でのみ使われる言葉も、すっかり耳にすることはなくなった。「獅子(しし)身中(しんちゅう)の虫」(味方でありながら災いをもたらす者)に「狼藉(ろうぜき)者」(乱暴をはたらく者)「猪口才(ちょこざい)な」(こざかしく生意気な)「大儀であった」(ご苦労だった)―などなど。
これもその中の一つ。「名代」。「みょうだい」と読む。「代理人」という意味だが、これに関しては主に特別な身分の人の代理人に使われる言葉である。「キリシタン大名・大友宗麟の名代となった伊東マンショ」や、現代では「天皇陛下の名代」といった具合である。
国土交通省の元事務次官による民間企業「空港施設」への人事介入問題。元次官は、国交省出身の同社副社長を社長に昇格させるよう求めた際に「有力OBの名代」と語ったことを認めた。有力OBが誰かも明らかになった。元次官は「権限をかさに何かをお願いするとの趣旨ではない」と話している。
とはいえ事務次官まで勤め上げた人だ。「名代」の持つニュアンスを知らないはずはなかろう。よく行政を揶揄(やゆ)して「御上(おかみ)」などというが、それを体現したような今回の件。無関係という国交省には、さぞかし元次官は「獅子身中の虫」に思えたことだろう。