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双石山を発信

2023年4月19日
 宮崎市の市街地から南を見ると、右上がりにとがった山容が特徴的な山が双石山(ぼろいしやま)。砂岩、泥岩が重なる地質はもろく砕けやすいことからその名があるという。明治初期の「日向地誌」に「ボロ石嶽」で登場する。

 「ボロ」には「衆」の字が当てられることが多いと記されているが、いつから「双」の字になったのだろう。辞書には「ボロ」という読みはないが「もろ」はあるので便宜上当てたのかと推測する。地名はともかく、県内の登山愛好家には身近に親しまれている山だ。

 標高509メートル。決して高くはないが、急な登りの連続で、頂上までたどり着くには結構な脚力が必要となる。しかも裏側の加江田渓谷を含めて地形は複雑。楽しいハイキングから訓練に使う登山道までコースは多彩だ。十分な下調べと装備を怠ると山中に迷う危険がある。

 宮崎市が新たな観光資源を掘り起こそうと、双石山と加江田渓谷の情報発信を新年度予算の事業に組み込んだ。林野庁から自然休養林の指定を受けている一帯は、照葉樹林や亜熱帯の植物が自生。野鳥をはじめ動物の種類も豊富でアウトドア好きには宝の山だ。ただ県外客の認知度が低いのは確か。

 市街地からすぐ行けて、観光地の青島にも近く、これほど豊かな自然のオアシスは都会の住民の心をつかむことだろう。双石山では以前、奉仕作業で山小屋建設の土砂を運び上げて、完成後山小屋に泊まった経験がある。宮崎市の夜景がなかなか美しかった。

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