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早緑、早乙女、早苗…

2023年4月20日
 今年も人々の目を楽しませた県内各地の桜。あっという間にシーズンは終わった。おととい、名所の一つである宮崎市の県総合文化公園に行ってみると、柔らかな春の日差しを浴びて、葉の緑が輝いていた。

 延岡方面であれ、都城方面であれ、宮崎市から高速道に乗ると、目に飛び込んでくる周囲の山のモコモコとした生命力あふれる木々の緑がまぶしい。その鮮やかさはまさに新緑。江戸時代の俳人・山口素堂(そどう)の名句「目には青葉…」を思わず口ずさんでみたくなる。

 きょう二十四節気の一つ「穀雨」。先日、小欄で3月下旬から4月上旬にかけ花の開花を促す雨とされる「催花雨(さいかう)」のことを書いた。これに対して、今の時期の雨は、種まきや育苗のために必要。さまざまな穀物に水分と栄養を与える恵みの雨として「百穀春雨」という。

 ちなみに、新緑である今より少し前の、若草や若葉の緑は「早緑(さみどり)」という。この「早(さ)」は、若いという意味で、同じように「さ」と読む「早」が付く言葉には「早乙女」「早蕨(さわらび)(芽を出したばかりのワラビ)」「早苗」、その早苗を植え始める「早開(さびら)き」、田植えはじめを祝う「早降(さおり)」などがある。

 いずれもこの時季の言葉。「早乙女」は、一般には田植えをする若い女性をいうが、茶摘みをする女性も早乙女姿である。先日、お茶屋さんで一足早い「新茶」と書かれたミニのぼりを見た。本格的な新茶シーズンももうすぐ。何かと心浮き立つ季節である。

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