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有事の下での絆

2023年4月27日
 1年には「絆の日」と呼ばれる日が2日ある。一つは、きょう4月27日。絆を忘れないようにと、忘れな草の月である4月と「27」を「つな」と読む語呂合わせから来ている。そして、もう一つは2月27日。

 こちらは、バレンタインデーの2月14日とホワイトデーの3月14日の中間の日であるから。そのため主に恋人同士の絆を強める日という意味合いが濃く「冬の恋人の日」でもあるらしい。いずれにせよ絆の大切さについて再認識する日であることに変わりはない。

 絆は人と人の間のみにあらず。国と国の間においてもしかりだ。情勢が悪化しているアフリカ北東部スーダンの首都ハルツームで、退避を希望していた全ての在留邦人の国外退避が完了した。退避者の多くはハルツームから脱出拠点ポートスーダンまで、陸路で移動した。

 過去にもあったが、紛争地からの脱出は容易なことではない。今回、希望する日本人全員が無事に退避できた陰には、国連や国際赤十字のみならずアラブ首長国連邦やフランスなどの支援があった。特に韓国は、出発時間に間に合わなかった日本人5人を防弾車で迎えに行き、バスに乗せてくれた。

 韓国の当局者は「われわれが困難な状況なら日本も助けてくれただろう」と述べたという。今回のこうした多くの支援に感謝したい。「絆の日」でなくとも、今回の件は有事における国際社会の協力と連携、日ごろの絆の大切さを改めて考える契機となった。

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