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こどもの読書週間

2023年4月28日
 同じ「愛を伝える日」なのに、日本ではバレンタインデーやホワイトデーほどには普及していない。4月23日の「サン・ジョルディの日」。スペイン発祥のイベントで、恋人などにバラや本を贈る日である。

 恐ろしいドラゴンを倒し、いけにえとなるはずだった姫を守った騎士サン・ジョルディに由来する。ユネスコでは1996年からこの日を「世界本の日」に定めている。日本では、バラと本を贈る風習こそ定着していないものの「子ども読書の日」となっている。

 またこの「子ども読書の日」から5月12日までの20日間は「こどもの読書週間」である。毎年、標語を募集しており今年は「ひらいてとじた 笑顔がふえた」だ。県立図書館では、期間中「特別おはなし会」や牛乳パックで絵本を作るワークショップなどを予定している。

 同館ロビーでは恒例として児童書などを展示。今年のテーマは「いのちをみつめて~平和をつたえるこどもの本」だ。戦争、難民などに関する本が多数並ぶ。まさに今の世相を背景とした展示といえよう。好企画である一方、改めて子どもたちに平和の大切さを伝えなければならない現実が悲しい。

 これらの本は標語のように「ひらいてとじて笑顔」になる本ではない。だが、子どもたちは何かを感じ取るに違いない。その感じたものを自らの血肉とし、次の世代の子どもたちが笑顔でいられる平和な世を築く糧にしてくれたら。本にはそうした力がある。

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