去年の秋、九重連山（大分県）を山歩きして見事な紅葉を堪能した。山好きの人には知られているが、連山の中ほどに坊がツルという開けた場所がある。そこに温泉宿もあって滞在するだけでも気持ちいい。

　坊がツルにはキャンプ場もあり、朝晩は結構冷え込んだがカラフルなテントがたくさん張ってあった。キャンプブームだが最近はソロ（１人）がはやりという。確かに小さめのテントが９割ほどを占めている。みな思い思いに山歩きしたり、炊事を楽しんでいた。

　ガイドしてくれたのはボランティアで自然保護活動している女性。植物やルートに詳しい。お昼、眺めのいい場所では多くの登山客が昼食を取っていたが、林の中でストーブ（ガスバーナー）を使っていた１人に彼女がきつく注意した。「バーナーシートを使ってますか」。

　火や熱が地面に拡散するのを防ぐために敷くシート。野外で火を扱うと落ち葉などに燃え移る危険があるため使用が推奨されている。彼女の口調が少々きつかったのも無理はない。２０２０年、九重の山でミヤマキリシマの樹林帯約１万平方メートルを焼く山火事が発生。原因が登山者のストーブだった。

　野外活動にもルールがある。アウトドアマンなら自然や他人への配慮を忘れたくない。本県のキャンプ場でごみ放置や騒音などマナー違反が相次いでいる。大型連休は今日まで。観光地全般に言えるが、楽しんだ施設、自然に感謝し気持ちよく日常に戻ろう。