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マスク供養祭

2023年5月10日
 高校生の頃、初めて眼鏡を着用した時の感覚を思い出す。眼鏡店を出ると、通りを行き交う人の顔が鮮明に見える。やたらと視線が合って恥ずかしい。それまでは視線が合っても気付いてなかったのだろう。」

 新型コロナウイルスが「5類」に移行。街中ではマスクを外す人が少しずつ増えてきた。見た感じでは5人に1人が外している。ただ、素顔を全面的にさらすようになって「ちょっと恥ずかしい」という戸惑いの声も耳にする。特に思春期にある中高生に多いようだ。

 以前から病気と関係なく外出時はマスクをする若者もいたので、顔を隠すより出す抵抗感が若いほど多いのかもしれない。女性では「マスクの方が口紅をしなくて楽」という声も聞く。日本中がマスク不足の懸念から、ちょっとしたパニックに陥った3年前が昔に思える。

 最初のうちは着用に抵抗感があったが、不思議なもので慣れると普通になった。しかしリモートだった会合が実際に開かれたり職場の間仕切りが取り払われたりするのと同時に、再び素顔の対面が日常になっていくのだろう。日向市で開かれた「マスク供養祭」は節目を印象づけるイベントだった。

 むろんマスクの出番がなくなったわけではない。専門家はコロナが再び流行する可能性を指摘する。しかし、自らの判断でマスクを着ける、手を洗う、3密を避けるなど3年間で学んだ感染防止策は今後役立つ。あらためてその象徴だったマスクに感謝したい。

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