長い人で９連休あった春のゴールデンウイーク。もう１週間ほどたつが、無事に日常のリズムを取り戻せただろうか。５月は自律神経の乱れから「眠い」「だるい」など不調を訴える人が増える傾向にある。

　いわゆる「五月病」。不思議なことに職場や教室であくびする人を見たら、つられてこちらもしてしまう。俗に「あくびがうつる」と言われるが実際にあるのか、まじめに研究した人たちがいる。サンキュータツオ著「ヘンな論文」で欧米の研究が紹介されている。

　一般にあくびの要因の一つは「脳に酸素が足りなくなったから」とされるが、実験によると間違いだった。「退屈だから」「眠いから」など脳があまり起きていない状態に起こるらしい、ということで一応は説明できるが、そのメカニズムについてはあまり分かっていない。

　被験者を集めて「そもそもあくびはうつるのか？」という実験では興味深い結果が出た。「あくびについて考えるだけで、かなりの頻度であくびをする」。他人があくびをする映像を見たり、あくびについて書かれた文章を読むだけでもその傾向は強まったそうだ。やはりあくびは伝播（でんぱ）するらしい。

　さらに実験は「何歳からうつるか」「イヌはどうか」と進むが、研究者の飽くなき探究心に脱帽する。ともかく五月病予防にはストレスをためないことが大切。あくびも”感染”させないようにしたい。この「くろしお」を読んであくびが出た人もいるだろうが。