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ずっと外れにある別荘

2023年5月21日
 私の別荘はずっと外れにある―。これは「今、話題になっていることを自分はよく知らないし、自分に関係もない」というウクライナのことわざである。プライバシーを尊重する国民気質を表すものらしい。

 エラ・フランシス・サンダース著「誰も知らない世界のことわざ」(創元社)で知った。国際社会においても「他国のことに首を突っ込まない」というのは原則。とはいえ、力による一方的な「現状変更」を試みる国が出てくれば、当然見過ごせるものではない。

 おととい開幕した先進7カ国首脳会議。その開催地である広島にきのう、ウクライナのゼレンスキー大統領が到着した。当初オンラインで参加の予定だったが、本人の強い希望で急きょ対面での出席が決まった。広島空港に降り立った大統領の厳しい表情が印象的だった。

 目的の一つがグローバルサウス(新興・途上国)に理解を求めることだ。冒頭のことわざ「よく知らないし関係もない」とまではいかずとも、これらの国々にはロシアへの制裁などに関して欧米と温度差がある。ゼレンスキー氏は「外れにある別荘」の住民を近隣へと引き寄せることができるのか。

 また、きのうはバイデン米大統領が、同盟国のウクライナに対するF16戦闘機の供与を容認したことが明らかになった。こちらはどんな影響をもたらすのか。ともあれ「広島がロシアによるウクライナ侵攻の終結を早める地になった」となればいいのだが…。

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