少子化につながる奨学金
2023年5月25日
左手の障害と貧困から這(は)い上がり、細菌学の分野で多くの功績を残した立志伝中の人・野口英世。とはいえ、その人間性にはやや難があったようである。特にお金に関するだらしなさは、常軌を逸していた。
米国に留学する際、知人や婚約者の家から今の金額にして1千万円ともいわれる大金を調達するも、一夜の遊びに使ってしまったというエピソードは有名だ。そんな野口に対し、歯科医師の血脇守之助は決して見放すことなく、借金をしてまで資金援助を行った。
また野口には、貧しさゆえ進学が難しかった幼年期に、高等小学校へ行けるよう援助してくれた小林栄という恩師もいた。才能や志があってもそれらを開花させるには、ある程度の経済的環境が必要。それは昔も今も変わるまい。野口は借りた金の大半を返済しなかった。
日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用し、返還中である45歳以下の働く男女を対象に、労働者福祉中央協議会が行った調査。回答した2200人のうち、3割以上が「(返還が)結婚や出産に影響している」と感じているという。奨学金が人生設計の重荷となり少子化の一因となっている格好だ。
「次元の異なる少子化対策」を進める岸田政権には、こうした点も十分に踏まえてもらいたい。ちなみに野口の名誉のために付け加えておくと、ロックフェラー医学研究所に職を得た野口は「24時間人間」といわれるほど研究にいそしんだということである。
米国に留学する際、知人や婚約者の家から今の金額にして1千万円ともいわれる大金を調達するも、一夜の遊びに使ってしまったというエピソードは有名だ。そんな野口に対し、歯科医師の血脇守之助は決して見放すことなく、借金をしてまで資金援助を行った。
また野口には、貧しさゆえ進学が難しかった幼年期に、高等小学校へ行けるよう援助してくれた小林栄という恩師もいた。才能や志があってもそれらを開花させるには、ある程度の経済的環境が必要。それは昔も今も変わるまい。野口は借りた金の大半を返済しなかった。
日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用し、返還中である45歳以下の働く男女を対象に、労働者福祉中央協議会が行った調査。回答した2200人のうち、3割以上が「(返還が)結婚や出産に影響している」と感じているという。奨学金が人生設計の重荷となり少子化の一因となっている格好だ。
「次元の異なる少子化対策」を進める岸田政権には、こうした点も十分に踏まえてもらいたい。ちなみに野口の名誉のために付け加えておくと、ロックフェラー医学研究所に職を得た野口は「24時間人間」といわれるほど研究にいそしんだということである。