「しかし」の入る余地
2023年5月26日
「バット」「メ」「アーバー」「ペロ」…。1番目は英語、続いて順番にフランス、ドイツ、イタリア語の、いずれも同じ意味の言葉である。英語のつづりはbut。もうお分かりだろう。そう「しかし」だ。
先日閉幕した「G7広島サミット」。原爆資料館を訪れた各国首脳が、それぞれ芳名録に直筆でメッセージを残した。「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて共に進んでいこう。信念を貫こう」―。こう書いたのはバイデン米大統領だ。
「核戦争は二度と起こしてはならない」(ドイツのショルツ首相)「平和のために行動することが私たちの責務だ」(フランスのマクロン大統領)。岸田文雄首相は「G7サミットの機会に議長として各国首脳と共に『核兵器のない世界』をめざすためにここに集う」と。
いずれも、力強い文言である。決してそれらのメッセージの余白に”見えない”「バット」や「メ」「アーバー」「ペロ」のいずれの言葉も加えないでほしい。「しかし、やはり抑止力としての核は必要で…」とか「しかし核攻撃をほのめかして威嚇する国がある以上…」とかいった具合にである。
参加国で合意した、核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」は、核抑止論を盛り込んだことに批判の声もある。核なき世界への道が険しいことは誰もが承知。それでも、その理想の後に「しかし」を入れることには抵抗し続けたい。唯一の被爆国として―。
先日閉幕した「G7広島サミット」。原爆資料館を訪れた各国首脳が、それぞれ芳名録に直筆でメッセージを残した。「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて共に進んでいこう。信念を貫こう」―。こう書いたのはバイデン米大統領だ。
「核戦争は二度と起こしてはならない」(ドイツのショルツ首相)「平和のために行動することが私たちの責務だ」(フランスのマクロン大統領)。岸田文雄首相は「G7サミットの機会に議長として各国首脳と共に『核兵器のない世界』をめざすためにここに集う」と。
いずれも、力強い文言である。決してそれらのメッセージの余白に”見えない”「バット」や「メ」「アーバー」「ペロ」のいずれの言葉も加えないでほしい。「しかし、やはり抑止力としての核は必要で…」とか「しかし核攻撃をほのめかして威嚇する国がある以上…」とかいった具合にである。
参加国で合意した、核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」は、核抑止論を盛り込んだことに批判の声もある。核なき世界への道が険しいことは誰もが承知。それでも、その理想の後に「しかし」を入れることには抵抗し続けたい。唯一の被爆国として―。