ミヤザキサンショウウオ
2023年5月28日
水辺にすむ動物サンショウウオは、あまり陸上を動かず動きも遅い。だから地方ごとに独自の種類が分布するらしい。宮崎市の南部周辺に生息する種類も新種であることを県内の研究グループが突き止めた。
「ミヤザキサンショウウオ」と命名。これまでも同市周辺では、大分県などに分布するオオイタサンショウウオが見つかったと話題になっていたが、固有種だったわけだ。研究者の飽くなき探究心に敬意を表したい。また里山の自然環境を守る必要性を痛感する。
サンショウウオのあまり移動しない生態をよく観察したたまものだろう。作家井伏鱒二の有名な小説「山椒魚」はこの生き物のイメージをよくとらえている。体が大きくなって岩屋から出られなくなったサンショウウオ。悲嘆に暮れて、世を恨み、性格も悪くなっていく。
残酷なことに岩屋に入ってきたカエルを閉じ込める。両者は激しく口論し、共に衰弱する物語だ。全く勝手な解釈だが、この争いは両者が共に両生類として近親だからではないか。関係が近いほど愛憎が増幅しがちだ。国家も人間同士も身近だと親近感とライバル意識が同居する傾向にあるようだ。
「山椒魚」は著者が晩年、末尾を削除して物議を醸した。カエルが「今でも別にお前のことを怒ってはいないんだ」とサンショウウオを許す箇所。著者は相当迷ったそうだが、現実に起きている争いごとの解決の難しさを思うと著者の気持ちも分かる気がする。
「ミヤザキサンショウウオ」と命名。これまでも同市周辺では、大分県などに分布するオオイタサンショウウオが見つかったと話題になっていたが、固有種だったわけだ。研究者の飽くなき探究心に敬意を表したい。また里山の自然環境を守る必要性を痛感する。
サンショウウオのあまり移動しない生態をよく観察したたまものだろう。作家井伏鱒二の有名な小説「山椒魚」はこの生き物のイメージをよくとらえている。体が大きくなって岩屋から出られなくなったサンショウウオ。悲嘆に暮れて、世を恨み、性格も悪くなっていく。
残酷なことに岩屋に入ってきたカエルを閉じ込める。両者は激しく口論し、共に衰弱する物語だ。全く勝手な解釈だが、この争いは両者が共に両生類として近親だからではないか。関係が近いほど愛憎が増幅しがちだ。国家も人間同士も身近だと親近感とライバル意識が同居する傾向にあるようだ。
「山椒魚」は著者が晩年、末尾を削除して物議を醸した。カエルが「今でも別にお前のことを怒ってはいないんだ」とサンショウウオを許す箇所。著者は相当迷ったそうだが、現実に起きている争いごとの解決の難しさを思うと著者の気持ちも分かる気がする。