「全国区の料理」への道
2023年5月29日
福岡でタクシーの運転手さんに聞いた話。同県内の有名なラーメン店の、高齢の創業者が入院した。ところがこの店、スープの調理法が流出するのを防ぐためその作り方は、創業者しか知らなかったらしい。
そのため、入院中は他に作れるスタッフがおらず、一時休業を余儀なくされたのだという。この店ほど極端でなくとも、店の味を守るため、作り方を”門外不出”にするのはよくあることだ。だが、ラーメンと違い、その料理自体が普及していない場合はどうか。
延岡市発祥のチキン南蛮。その元祖の一つ、レストラン「おぐら」の創業者・甲斐義光さんは、門外不出どころか「おいしいものはたくさんの人に口にしてもらいたい」と、自ら進んでレシピやこつを教えていたという。そうしたこともあり、今では全国区の料理となった。
くしくもその甲斐さんが亡くなった2009年に発足したのが、チキン南蛮を生かしたまちづくりに取り組む同市の市民団体「延岡発祥チキン南蛮党」だ。これまで14年間にわたり、ご当地グルメのイベントへの出展など、さまざまな活動を通し「延岡がチキン南蛮の本場」であることを広めてきた。
その目的が果たせたとして7月に解党するという。”黎明期”に惜しげもなく調理法を伝授したり、「延岡生まれ」であることをPRし続けたり…。今や辞書にも載る「チキン南蛮」は一日にしてならず。そこに至る関係者の心意気や努力に改めて思いをはせる。
そのため、入院中は他に作れるスタッフがおらず、一時休業を余儀なくされたのだという。この店ほど極端でなくとも、店の味を守るため、作り方を”門外不出”にするのはよくあることだ。だが、ラーメンと違い、その料理自体が普及していない場合はどうか。
延岡市発祥のチキン南蛮。その元祖の一つ、レストラン「おぐら」の創業者・甲斐義光さんは、門外不出どころか「おいしいものはたくさんの人に口にしてもらいたい」と、自ら進んでレシピやこつを教えていたという。そうしたこともあり、今では全国区の料理となった。
くしくもその甲斐さんが亡くなった2009年に発足したのが、チキン南蛮を生かしたまちづくりに取り組む同市の市民団体「延岡発祥チキン南蛮党」だ。これまで14年間にわたり、ご当地グルメのイベントへの出展など、さまざまな活動を通し「延岡がチキン南蛮の本場」であることを広めてきた。
その目的が果たせたとして7月に解党するという。”黎明期”に惜しげもなく調理法を伝授したり、「延岡生まれ」であることをPRし続けたり…。今や辞書にも載る「チキン南蛮」は一日にしてならず。そこに至る関係者の心意気や努力に改めて思いをはせる。