小欄のタイトルが、それまでの「響」から「くろしお」に変わったのは１９６５年１０月１日。この日の小欄には「太古の昔から大河のように南から流れくる黒潮のように、いつまでも訴え続けよう」とある。

　日本近海には四つの海流があり、黒潮（日本海流）と対馬海流の二つが暖流、親潮（千島海流）とリマン海流が寒流だ。黒潮と親潮のように二つの潮の流れがぶつかる海域を「潮目」という。ちなみに「潮目が変わる」とは「それまでの情勢が変化する」という意味。

　どれが暖流で、どれが寒流だったか、忘れないための覚え方が地理の学習サイトにあった。「親は冷たい」―。つまり「親（潮）は冷たい（寒流）」ということらしい。「寒流」といっても、決してネガティブなものではない。栄養分が豊富で魚たちにとってよい環境だ。

　評価はいろいろだが取りあえず無事にサミットを終え、そのことを政権の追い風にしたかったであろう岸田文雄首相。だが、そこに降って湧いたのが、長男で秘書官だった長男の”不祥事”だった。昨年末に首相公邸で忘年会を開き、親族と記念写真を撮ったことが「公私混同」などと非難された。

　当初は厳重注意で乗り切ろうとした首相。だが、一部の世論調査で支持率が上がるなど悪くない状況にある中で”潮目”が変わるのを恐れたのか、更迭に踏み切った。自分の息子を切った形だが、今回の件で「親は冷たい」などと思う人は、そうそういまい。