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銃を持つ資格

2023年6月16日
 大学時代の思い出。講義をサボってアパートで寝ていたらノックの音が…。出てみると中年と若手の2人の警察官が立っていた。巡回連絡という。とても感じのいいお巡りさんたちで、雑談で盛り上がった。

 話し終えて帰って行く2人をドアの所で見送った。2人の腰にはホルスター。当然、中には拳銃が―。このとき、不思議な感覚に見舞われた。それは温厚そのもののお巡りさんたちと、人を傷つけ命をも奪う拳銃というもののミスマッチが生み出す違和感だった。

 警察官の銃の携帯が普通に受け入れられているのは、それが「誤った使い方がなされることは絶対ない」という信頼が社会の中で成り立っているからにほかならない。そんな当たり前のことを改めて考えさせられる事件が起きた。警察でなく、同じく銃器を扱う自衛隊でだ。

 岐阜市にある陸上自衛隊の射撃場で、自衛官候補生の18歳の男が男性隊員3人に向け自動小銃を発射。2人が死亡し、1人が負傷した。事件の詳細はまだこれからだろうが、男は亡くなった52歳の教官に叱られたという趣旨の供述をしているという。どんな理由があるにせよ許されることではない。

 その人間に銃を扱う”資格”があるか否かを他人が完璧に判断するのは容易ではなかろう。それでもやらなければならない。今回の件、容疑者の採用時に何か見抜けなかったのか、実弾を扱わせるまでの期間は妥当だったのか。検証すべき点は山積している。

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